君と、僕の恋


( 出掛けようよ 1/1 )



「でーかーけーよーよ!」

「やーだー」


俺たちは今、絶賛格闘中。
お出掛け好きの沙緒と引きこもりがちの俺とが今現在。

まあ、ほぼ毎回俺の勝ちなわけで。
沙緒もいい加減諦めればいいのに。


「もー。啓くん嫌いー」

「なら俺んち来るな」

「……好きなんだもん」


沙緒はよくわからん奴。
嫌いと言ったり、好きと言ったり。

…いきなり首に抱きついてきたり。


「沙緒、苦しい」


と言うと、ぐっと腕に力を入れてきた。ますます苦しいではないか。


「啓くんー、だめ?」

「やだやだ、人酔いするから俺」


もっと沙緒の腕に力がこもる。
沙緒は俺を殺したいのだろうか。



てか、沙緒が腕に力を入れる度にどんどん身体が密着していく。



――沙緒の頬と胸が俺に触れた。
柔らかく、俺の頬と腕に。




――‥我慢、しろってか?

いや、もう、無理。


「…ギブ。放せ、沙緒」


するりと沙緒の腕から解放されると、沙緒はイタズラっぽく笑う。
これだ、俺が好きになった笑顔。


「やっぱりこれ弱いね」

「沙緒は、ずるい」


俺の弱点を知り尽くしてて、さ。
ほんとにずるい。


「じゃ、啓くん出掛けようか」

「は?行かないけど」

「約束が違うよー!」

「約束なんてしてねーし」


ばぁか、と言いながら今度は俺が沙緒に後ろから抱きつく。
そうすると沙緒は、とびきり嬉しそうな顔をするから。


「…啓くんもずるいよね」


と、沙緒は俺に体重を預ける。


出掛けるのをあきらめた合図。


これで今日も俺の勝ち。
インドアデート決定だ。


「沙緒もこれ、弱いね」


そっと、耳に息を吹きかけるように言ってみた。沙緒は少し甘めな息を吐き出しながら、くすぐったそうに身をよじる。


「…沙緒は啓くんに弱いの」

「知ってるよ」


沙緒に頬をそっと寄せると、「啓くん、くすぐったい」と言いながら(俺の髪がくすぐったいのかな)、俺の髪を撫でる。


そして、そっと、俺の頬にキスを。



( 元から出掛ける気無かったよね )




出掛けようよ、
(100105)


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