君と、僕の恋


( ぎゅうっと 1/1 )



からからから。
自転車のタイヤが回る。

かさかさかさ。
北風で枯れ葉が回る。


「寒くねーか」

「ん、大丈夫だよ」


真奈美はそう答えたが、マフラーを鞄から取り出して渡した。
ん、と最高に無愛想に。
押しつけるように渡した。


「あ、りがと。チャリ替わって」

「おー」


自転車のハンドルを引き受け、真奈美がマフラーを巻き終えるのを待つ。


ローファーとスニーカーが少しずれたテンポで動く。
小さな歩幅で、ローファーがちょこちょこと。少し大きな歩幅でスニーカーがひょいと。動くのを見てた。
その間も、からからと自転車のタイヤは回る。


「健二くんは、寒くない?」

「寒いとなんかしてくれんの? ん? 真奈美ちゃん」

「手袋とか、持ってたり」


じゃーんと効果音をつけながら、真奈美は自転車のカゴに入ってる自分のカバンの中から、手袋を取り出した。

少し赤くなった手で真奈美はそれを持ってるから、「真奈美が手袋しなよ」としか、言えない。


「俺は真奈美をぎゅうっとすれば温まるからさ、いや真面目に」

「……私は健二くんにぎゅうっとされちゃうのですか」


真っ赤な耳で、真奈美は手袋を嵌めながらうつむいて言った。

耳が赤いのは、寒いからかな?

それとも――‥
照れてるのかな?

どっちにしろ、それが可愛らしくて


「されちゃうのです」


自転車を停め、真奈美をぎゅうっと、ぎゅうっと。して。


温かい感触に、癒されて。


( マフラーより、手袋より、あったかいのはお前 )


ぎゅうっと
(100208)


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