君と、僕の恋


( ミズイロサクラ 1/1 )



めがね越しに見えた、あなたは。

とっても真剣な目で、繊細な線を引き、緻密に線を足し。

斬新な色使いで、私とあの桜の木を完成させた。


「ひゃは。めがねテカらせすぎちゃったかなあ。ど? 茉莉たん」

「ん!ううん!山名先輩の絵――‥ほんっと、素敵です!」

「まじ? ありがとー」


へらへらと山名先輩は笑うけれど。

私は、真剣な眼差しの先輩も、

今の優しく笑う先輩も。


――どっちも、好きです。


「んー、この絵、欲しい?」

「へっ?!く、くれるんですか?」


いーよ、と山名先輩はスケッチブックの1ページを破り、私に渡す。

淡い水色に塗られた桜の木。

先輩らしい色使いで、微笑んだ。

優しい優しい。
山名先輩の絵の特徴がしっかりと出ているのだ。


「茉莉たんくらいしか部活来てくれないからねえ、ご褒美です」

「ありがとうございます…」

「ううん、こちらこそ、絵のモデル、ありがとね」


にへら、とだらしなく山名先輩はいつもの笑顔。

ぽふぽふと私の頭をなでた。

――今日、部活来てよかった…!


「あとさ。茉莉たん」



私の顔をめがけて、山名先輩は手を伸ばしてきた。

意味が分からず、首を傾げる。


「ぇ……?」

「めがね、」


急に視界がぼやけた。

ぱちぱちと目を瞬かせる。

でも、視界はくっきりしない。


「ない方が、茉莉たんはかーわいぃ」

「へ? え、先輩…めがね……」

「はい!」


先輩がまた私に手を伸ばし、めがねを掛けられて、やっと視界がくっきりした。

視界の中ではまた、山名先輩が微笑んでいて。

いつも通りの子供っぽい笑顔。


私も微笑み返す。

今は、それだけ。


それだけで充分です。



( 先輩の絵に似た笑顔を、 )


ミズイロサクラ
(100224)


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連載:[学級委員と図書委員]の山名くんでした。


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