君と、僕の恋


( 空に、手 1/1 )



思いっきり、空に手を伸ばした。
ベンチに座って、ぐっと。
こうすれば、空に手が届くかもしれないと思って。


でも、だめだった。


ベンチの後ろに立ってた雅則までしか、手は届かなかった。


「……ってぇ」


ぐに、と雅則のほっぺを掴む。

いい掴み心地。


「やあらかい」

「お前、喧嘩売ってる?」


上から雅則がのぞき込む。
私はその顔を固定した。

雅則の眼、キラキラしてる。
いいな、キレーな眼してて。


「は、はなせ バカッ」

「赤くなってる。雅則カワイイ」

「――〜〜っ、バカやろ…!」


雅則のおっきな手が私の手を掴む。

そっと、雅則の顔から私の手がはなされた。

耳まで真っ赤にしちゃって。
ほんと、雅則ってカワイイ。


「カワイイとかゆーな!俺は男だ!」

「でも、カワイイんだよ?」

「……カワイイのは里依だっつの」

「ん?」

「なんでもねェよ」


あ、怒らせちゃったかな?
眼、合わせてくれないし。
空を向いちゃってる。


「里依、さっき空見てたな」

「うん」

「空って遠いよな」


「そだね」私も空を見ながら答える。


――雅則が私みたいなこと言ってる。

思わず吹き出してしまいそうなほど、びっくりした。


「空に近づけてやろうか」

「え? って、ちょっと、雅則?!」


ふわりと身体が宙に浮く。

――高い!
それに、雅則の顔が近い……っ。


「里依って、軽いな」


あ……雅則が笑ってる。
珍しいな。

――じゃなくてっ!


「高いよぅ、雅則っ」

「キスしてくれるまで降ろしてやらねェよ」

「…………はい?!」


雅則が変なこと言ってる!
なんで?!

さっきも空がどーのこーの言ってたし、どっかに頭ぶつけたのかな…?

…って、私か?
さっきほっぺをぐにってしたから?


「俺は平常だ」

「ひっ…近い近い!」

「照れてんの?」

「え、や、あのっ、キス…しないと、私はずうっと雅則にだっこされたままなのかなって」


あー、顔 熱すぎて変になりそう!

でも――‥雅則って、こんな整った顔してたんだ。
まじまじと見たこと無かったから、なんかドキドキしちゃうな。

くち、びる。
雅則の、薄い唇。
そおっと、開いた。


「別に、だっこされていたいならキスしなくてもいいけど」

「あ……りょ、両方したいっていうのは、ワガママかな…?」


あれ?!
私なに言ってるんだろ?!

やっぱり変になっちゃった?

確かに、雅則にキスしたいし、だっこされていたいけど…
もう、自分でもなに言ってるかわかんない……!


「ワガママ結構。」

「っ、…わ」

「カワイイ、」


雅則の唇は、意外にもやわらかな感触だった。

とん、と地面に降ろされて、雅則にぎゅうっと抱きしめられた。

もう一度キスされるかと思い、待ちかまえていたけど、雅則は私の耳元に口を寄せる。


「はー…腕疲れた」


そんなことを言われてしまった。



( 私の手は雅則に届けばいいや )


に、
(100322)


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